量産職人のuomachi日記

東京から三重に移住してきた紳士革小物量産職人のブログです

量産職人周辺の職人話

荷物の着荷まで時間が出来たので久しぶりのブログです

今回は革製品の量産職人周辺の職人さん(関東)の話をしようと思います。

 

今から書くことは私が直接、見たり聞いたり(本人・人づて)したことを

自分なりに解説してるんで大分、偏ってます。

なので「へー」ぐらいで読んでいだけるとありがたいです

 

最初に皆さんなんで量産職人なったのかですが

裁断屋さん・コバ漉き屋さんは

70代以上の方は親方から誘われてはじめて5年ぐらいで独立した方が多くて

20~40代の方は親がやってたからだそうです。

 

話それますが私の知ってる70以上の職人さんは親方の元を5年で出てる方が

本当に多いです(当時は、5年やったら一人前という考えらしいです) 

何で皆さん23~25で一回独立してます 

そして誰かに誘われて雇われになる流れが主流だったみたいです

ちなみに最初の5年間で決まった給料を貰った記憶がある人は

いませんでした。食住の保障とお小遣い程度だったらしです

 

話戻します 

家業の方が多いですね 何でほぼ持家兼作業場の方が多い印象です

忙しかった時代に稼いだらしいです

実際、忙しい時はコバ漉き職人を5人抱えても回せないぐらい

仕事があったと言ってた職人さんもいらっしゃいました

 

今では一括りで※裁断屋さん・※1 コバ漉き屋さんですが

昔は専門でやってたみたいです(※革・生地 ※1 靴・鞄・袋物・紳士小物)

何で専門かと言うとその職人さんの出身が強く影響してたみたいです

お世話になってる裁断屋さんも元々は靴専門だったらしいです

(先代が靴職人⇒裁断職人らしいです)

ただ今は、なんでもやるよー 下仕事もするよー です

 

何で私は新規でお付き合いする職人さんには

もともと何の専門だったのか聞くようにしてます。

確認しないとあと後、行き違いが起こる可能性が高いからです

依頼する際はサンプル・指示書は書きますが

感覚の違いで指示の取り違えが起こりやすいのが理由です

指示書は大事ですけど手仕事なので本人の感覚が優位にたつことも多いです

それが必ずしもこちらが望むモノだとは限りませんので(これは私にも言えます)

何にせよ1回依頼して上がってきた品物を確認するのが確実です

 

職人さんのなかにはSNS等で宣伝して技術を見せてる方々もいらっしゃいますが

実際依頼したら100セットだして90セットしか組にならない(漉き失敗)

で失敗の報告も無いとかって職人さんもいるので注意が必要ですね

(通常は多くて5枚以下の職人さんがほとんどです) 

 

あとコバ漉き屋さんは組合があるみたいで意外と横の繋がりが

あるみたいで(全ての方ではないと思いますが)

「何で〇〇さんとこから仕事、引いたの?」

とか言われて嫌な汗かいたことあります。

 

基本的に横よりも※縦の繋がり強い業界だと思ってたので色々と気を付けないと

いけないなと思う出来事でした

(※縦とは工程上の作業と言う事です 裁断→コバ漉き→縫製みたいな感じです)

 

次は単価の話ですがこれは難しいですね

裁断屋さん・コバ漉き屋さんにしても安いとは思います

これに関しては30年以上前から単価は変わってないみたいですし

それで今までやってきてますし、今もその単価でやってる方が多いです

特に70以上の方は持家で年金貰ってる方が大半なので

単価アップをそこまで気にしてない方が多いです

(実際は安いと思ってるけど単価交渉を今更するのが面倒し

 現状維持で穏やかにすごしたいらしいです)

そこがベースになっているので(特に小規模のメーカー)

そこを崩すのは容易ではありません。

じゃあ上代あげる交渉すればいいじゃんって言われたことありますけど

それはそれでまた難しいのです。

 

ただ、小規模メーカーからすると現状の品物の下代考えるとこれ

以上あげたら利益が無くなるのも事実ではあるのでおいそれと

単価上げるのは難しいです。

単価を上げるより安定数・継続できる仕事が欲しいとも言われますが

それも厳しいのが実情です。

特に社員として職人抱えてパートさん雇用して生産ライン

作ってる会社さんはそこの人件費=工賃が・・・・です

しわ寄せのしわ寄せのしわ寄せです

 

そもそも、引かれて引かれて残ったのが加工賃ですから 

そしてそれをさらに分けると 残る額は・・・どこで利益だすか

 

なので先出の裁断屋さんのように自力でどうにかしてやると

裁断だけではなく下仕事(貼り合わせて本抜きまでとか)

もやるスタンスの職人さんもいらっしゃいますし兼業の方もいます

不思議なもんでやはりそういうとこに仕事は集まるようです

 

あと、メーカとの関係性ですが特定のメーカーお抱えでやられてる職人さんが

多いのも特徴だと思います。なので縦の繋がりが強いのです(先出)

ただ近年、この構図が崩れてきているのも事実です。

理由としては革の需要が減ったのが大きいです 後は職人さんの高齢化です。

年配の方はこれをきっかけに辞める方が多くなってますし中小メーカーさんも

社内対応でこなす動きも活発になってきています。

これに伴い外注に仕事を依頼しなくなるので外注職人さんはより厳しくなる

のも事実です。

(実際、職人さんに辛辣なご意見、沢山いただきました)

 

私も量産職人の端くれなので私に当てはまる事も多々あります

何はともあれ続けていくために出来る事は何でもやるが大事だと思います

 

長くなったので今回はこの辺で終わらせていただきます

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

次回は外注量産職人さんについて書きます