量産職人のuomachi日記

東京から三重に移住してきた紳士革小物量産職人のブログです

量産職人的考察⑤ミシン

今日はミシンについて量産職人視点で書いていきます

 

ミシン(機械)につて詳しく知りたい方は検索すれば情報出てくると思うので

調べて見てください。

 

ではざっくりですが革製品に使用するミシンは工業用ミシンになります。

 

①機構の種類でいくと「下送り」「上下送り」「総合送り」

 

②ミシンの種類でいくと「平台」「腕」「ポスト」「コンピュータ」「飾り」

 

③動力(動かす力)でいうと「足踏み」「クラッチモーター」「サーボモーター」

 

④メーカーでいうと(現在ないメーカーも含む)「セイコー」「ジューキ」「三菱」

「ヤクモ」「アドラー」「タキング」「ゴールデンなんたら」etc

なんかですかね。正直、ミシンは中国OEMのミシンも結構出回ってるんで良く分かりませんwちなみにタキングは台湾の会社でアドラーはドイツ、残りのは日本ですね

 

ここからは上記を踏まえて紳士小物の量産職人の独断と偏見の考察です

ミシンは正直、使う人の好みです・・・話終わっちゃいますねw 

 

下送りミシンは大体が17ミシン(te-5)指します 昔(50年ぐらい前)は大活躍ミシンですね 腕ミシンといえばこれ みたいな感じですかね 今でも好きな方は使われてます。私も使った事ありますけど足踏みにしろクラッチにしろ慣れないとミシン自体を使いこなせないです 後、単純に下送りなので送り歯がギザギザしてるんで痕が基本付きます。紳士小物は基本的にミシンのあたりはクレーム案件になるのでギザギザの送り歯の痕なんて論外です 何で基本的に使用する際は(現在使用する事は無いですが)送り歯にゴムを貼ります(昔はゴムチューブを切って貼ってたらしいです)多少送り歯痕軽減できます 僕の感覚だとこのミシンが好きだという人が使用されてるイメージです 

上下送りは鞄屋さんが多いです 基本的に上下はグリップ力が強くて太い針に対応してるものが多いです 基本的に鞄屋さんは20番手以上での縫製が多いので太番手対応のミシンを使われてます「セイコー」とか「ヤクモ」「アドラー」何かは太番手、得意なミシンだと思います。あと、懐が深いミシンも多いのが特徴じゃないでしょうか ジューキよりも私は三菱のイメージですね(あくまでも私の周りの話です)

逆に小物は総合送りを使用しているとこ多いですね 理由は単純で上下より小回りがきくからです(機構比べると良く分かります 気になる方は比較してみてください) 私のイメージだと3㎜ぐらい内側せめられるイメージです メーカーはジューキが多いですね サンプル職人なら普通釜でいけると思いますけど量産するなら倍釜必須ですね

※太番手縫えるミシンは基本的に倍釜です 

ただポストは機構上たしか普通しかなかった気がします(うろ覚え)

 

平台は色々ありますけど基本的に使用する糸の番手で使うミシン決まってきます

ちなみに職業用・家庭用ミシンがある革の工場は私は見たことがありません

 

ここまでは革職人とミシンの関係をざっくり書きました 正直これは私書かなくても調べれば分かる事なのでこの辺で辞めときます もっと上手く書かれてるサイトさん、沢山あると思うので

 

ここからは量産職人としての考察です 

大分、偏ってると思うのでここから先は気になる方だけ読まれてください 

色々と思うとこあると思いますが「へぇー」ぐらいで受け取っていただけると幸いです。

 

いきなりですけどミシンは新品もしくは5年以内に販売されたのモノを購入される

事をお勧めいたします。ミシン屋さん曰く「ミシンはよほどの事がない限り壊れない」らしいです。理由は機構が単純だから壊れづらく直しやすいので部品が現存する限り使い続けられるらしいです(直しやすはあくまでも他の工作機械に比べてという事です) そういう理由もあり中古ミシン(20~30年前の奴)めっちゃ出てくるんです そしてオークションサイト等から簡単に入手できるんです。しかもぱっと見、安いんですけどここで考えてほしいんですよ、ミシンは壊れづらいだけでミシン自体は年月とともに劣化(金属ですから)するんです 例えば自分が30歳の時に30年前のミシンを購入したら自分が60歳の時、ミシンは60年ものです 素材の劣化相当進んでます 下手したらその時、部品なくなってる可能性もあります 

2000年製造と聞いたら新しく感じるかもしれませんがもう20年落ちですから・・

なんかこの業界、「古い機械は良い」みたいな幻想のある方多い気がします・・・

確かに名機と言われてるものは中にはあると思いますが機械技術は常に進歩してるので新しいミシンの方が性能良いはずなんです。何より良い製品つくるんだったら性能が高い機械を使いこなした方が良いと思います 使いこなすには慣れが必要です 慣れるためには長く(最初から)使うほうが良いです。何で新品(もしくは比較的新しいモノ)を購入し慣れていくのが効率的だと思っています。

 

以前、熟練の鞄職人さんが言ってました

自分が若い時は17ミシンしかなかった。だからこれでずっとやってきた けど今は良い機械が一杯ある これを最初から使ってて使いこなせればもっと効率よく良い仕事ができたと思う 今の時代の奴らは良い機械が多くて良いなと・・・ぼやいてました

 

まぁ、私からしたら昔の職人さんは作ったら売れる時代の方々ですからそれだけ大量に製品の製造出来て良いなと思いましたが・・・w 

まぁ、お互い無いものねだりですね 

 

すいません 脱線しました

 

あと、ミシンはミシン屋さんから必ず購入した方が良いです。何か大事が起こった際に信頼置けるミシン屋が居るのと居ないとじゃ全然違いますから、ミシン屋さんは探したほうが良いです。オークションとかで買ったミシンも見てくれるミシン屋さんもいると思いますが私の知ってるミシン屋さんは全員が、依頼されたら見るけど他の職人が調整してるミシンは余り触りたくないから少し割高になるらしいです(私の知る限り)

(でも、単純に地方だと難しいですね ミシン屋さん単純にいませんもんねw

 私の地方も車で2時間くらいのところにお1人だけです 何で地方の方はある程度、自分で治せるようにしたほうがいいです 構造は本当に難しくないので動画(写真)とりながらばらせば何となく構造分かるようになります。構造ある程度理解すればミシン屋さんとの電話のやり取りで何とかなります。ミシン使えなくなったら仕事止まりますからね 死活問題です! 自分で対処できるようにしときましょう 前もって構造等は調べようと思えばいくらでも調べられます やるかやらないかだけだと思います)

 

ミシンは高い買い物ですがミシンメインでの製作を考えている方は50万ぐらいはだす気持ちで探した方がいいです。

ちなみに私の使用してるミシンは90万です 10年以上使用し恐らく10000個以上製品縫製してきましたが今だに絶好調です メンテは自分で定期的にしてます ここ10年ミシン屋さんのお世話にはなってません 半年1回は、ばらせるところは全ばらししてます。最初、色んなとこばらして構造覚えました 何回も言いますが私は必須だと思います。

 

話戻しますが、50万で購入した場合、高いように思えますが単純に考えて30年使えば年2万弱です 月にすれば2千弱です 日(20日)にすれば100円です どうでしょうか?

とはいえ初期投資の50万は大きいです。なのでネット・snsで情報収集をし実際、試せるのであれば試し、必要なオプション(モーター・定規・押さえ等)を検討してそれをミシン屋(探しておく)に伝え相談してから購入することをお勧めします 

ただ、ミシン屋さんもいろんな方いらっしゃいますからムズイですね ミシン屋さんの評判はネットにはあまりでないですからね・・・まぁ、ある程度知識あれば足元見られないと思います ミシン屋さんも何も知らない素人からとる方が楽ですからね 現に専門卒とかでなまじっか変な自信持ってるのがカモだって言ってました。高いの買おうが古いの買おうが結局使いこなせないで売りに来る人多いらしいです。

そういう事を言ってるミシン屋さんもどうかと思いますが・・・気をつけましょう

 

後は、いい仕事(製品づくり)されてる方に紹介してもらうのが良いですね 

良い仕事する人の周りには大概、良い職人さんいますからねw

 

ただ、ミシン屋さん(革)減ってます。高齢化進んでますから

(跡継ぎがいないと)

なんで何回もいいますが、ある程度自分で何とかする、これからは必須だと思います

 

皆さんも良いミシンと出会えると良いですね ミシンは相棒ですから

 

縫えればいいでは仕事はできないと思います。ミシンを買ってからが本当の勝負ですから そこからまた色々、際限のないミシンとの格闘始まりますからw

ミシンさえあれば何とかなるって言う職人さんもいらっしゃいますからね それだけミシンは大事ですし武器になります その代わり使いこなすが絶対条件です。

仕事にするのであればミシンを使い潰すくらいの気持ちでやった方が良いです

ミシンはやった時間、数量がそのまま技術になる作業だと思います。センスは関係ないです。やれば誰でも上手くなれると思います。何で皆さんとにかく縫いましょう!

 

最後まで読んで頂きありがとうございました

少しでも皆様のお役に立てれば幸いです